「さっき、最後の4本が売れて、次はいつ入荷するか分からないわ」。来月のロケのために、収録テープをオーダーしようとしたサプライヤーからこんな返事がきた。
東日本大震災でソニーの生産拠点がダメージを受け、供給が滞っているらしい。なるほどそんなこともあるのかと思いつつ、他の業者にも聞いてみたら、どこもすでにSOLD OUT??
ちょっと焦りながらも、ならば日本から直接取り寄せるのも致し方なしと、日本の業者サイトを当たってみた。ところが、驚いた事に日本ではすでに先週の段階で在庫の奪い合いが終わったあとだったのだ。
今回、必要としているメディアはHDCAM SRというちょっと特殊なタイプ。テレビの撮影で一般的なHDCAMの上位フォーマットで、映像信号のロスが極めて少ないFullHDの収録が可能。どちらかというとCFや映画などで使われる事が多い。操業を停止しているソニーの仙台工場は世界で唯一、このメディアを生産している場所なのだそうな(ノーマルHDCAMは他のメーカーも生産している)。つまりこの供給不足は世界中で起きているのだ。
どんなに高性能な機材と有能なスタッフが揃っていても、収録テープがなければ撮影はできない。という訳で、ここから猛然と在庫獲得レースに参加。オークランドの技術スタッフにも助けてもらい、なんとかシドニーで必要最低数を確保することに成功した。
しかし、価格は通常の数倍。理不尽だと分かっていても、買えるだけラッキーだと自分に言い聞かせて有り難く購入したのはいうまでもない。
私も一応放送業界にいるので、その現状は地震の直後からアナウンスされていました。こちらから情報としてakiさんに流すべきでしたね。
そもそもソニーのテープ工場は仙台のみだそうです。
世界で使用されているソニーのテープは全て仙台で生産されていると営業マンが言っていました。
更にお台場にあるテープのストック倉庫も大変なことになっていて、地震直後からソニーのテープは手に入らなくなりました。
ソニーにとっても大打撃ですが、放送業界も死活問題です。
そこでちょっとした小ネタですが…
akiさんが良く知るB社の撮影部はHD40分テープの在庫がたんまりあったそうな。それを知ったソニーはB社に「ソニーのテープを売ってくれ」と言いに来たそうです。
非常事態だということを実感させられる小ネタでした(笑)
SRテープは日本ではさほど出回ってないため、入手するのも困難なんでしょうね…
今は金額よりも手に入ることを良かったと思うしかありませんね。