大根をサクサクおろす

 きちんとしていることは良いことだ。ふつう、部屋は片付いている方が良いし、列はみださない方が良いし、歯並びだってキレイに越したことはない。それは、整然としている方が効率や利便性につながることが多いからだろう。
 ただし「大根おろし器」は例外である。物理学者の近角聡信氏によれば、職人の作ったおろし金が量産品よりも高性能な理由は、ひとつひとつの刃の位置や形状がランダムなことにあるそうだ。つまり、大根をサクサク削るには刃並びが悪い方が良いのだ。
 で、オクソ製、Daikon Grater(大根おろし器)。今年のグッドデザイン賞を受賞した製品である。これはプロダクトデザイナーの山中俊二氏が、職人のおろし金を解析し、2年間の研究期間を経て生み出したもので、それぞれの刃の高さ、角度、並びなどを0.05ミリ単位で微妙に変えてデザインしてあるという。
 何もかもがきちんとしている必要はないと頭で分かっていても、整っていること=良いこと、というジョーシキに抵抗するのは結構きつい。だからこそ、こういうモノを見つけるとなんだか嬉しい。ブツはこれです。
OXO 大根グレーター

Valuer

 これはバリュアーと読む。不動産の価値(バリュー)を評価する鑑定士のことである。今日、このバリュアーがうちにやってきた。エージェントが不動産を購入するための付帯条件として鑑定書の取得が義務付けられているからだ。
 たとえば、合意している金額が鑑定結果よりも不当に低い場合には、我々は契約書に署名済みであっても不服を申し立て再交渉を求めることができる。つまり、取引が売り手側に不利にならないようにするための予防策なのだ。
 ちなみに、ニュージーランドはフィンランド、アイスランドと並んで政界の汚職や腐敗が最も少ない国のひとつだそうだ。ここではフェアであることはとても大切なのである。
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家の履歴書

 先々週、申請したLIMリポートがようやく送られてきた。LIMとはLand Information Memorandumの略で、簡単にいえば家の履歴書である。たぶん日本の登記簿に近いものだが、こちらはもっと詳しい。一番大きな違いは土地だけでなく、建物の履歴も記載されていることだろう。例えば、これを見ればガレージを増築した時期とか、災害があったときの建物のダメージなどもわかるようになっている。
 今回は契約後になってしまったが、本来は購入希望者が契約前に必ず目を通すものだ。幸い我々の家には問題点はないようなので、このままスムーズに手続きは進むはずである。
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契約成立

 弁護士の見解は、エージェントが法律で定められた書類(公認不動産鑑定士による鑑定書)を用意さえすれば問題なしということで、この日の午後に契約書に署名した。あとは、双方の弁護士にまかせておけば良い。結局、マーケットに出ていたのは僅か10日。思ったよりあっけなかったが、かなりすっきりした。こういう大きな所有物が比較的簡単にリセットできるのはこの国の良いところだ。
 次はいよいよ引っ越し準備。家を買うつもりはないので、しばらくは賃貸生活になる。クイーンズタウンも素晴らしいが、この機会に他の場所にも住んでみることも検討中。今までは山だったので、次は海かな。
 明け渡しの期日は来年の1月末である。

ウルトラC?

 オープンホーム担当者が予告した通り、別のエージェントがやってきた。話はやはり例のオファーの件。こちらとしては、金額が折り合わなかった時点で交渉終了だと思っていたのだが、彼はちょっとしたウルトラCを用意してきた。
 実際のオファーの金額と我々の希望価格との差額をエージェントのコミッションから割り引くというのだ。
 コミッションというのは販売金額に応じたエージェントの手数料のことで、うちを担当している不動産屋の場合は30万ドルまでは4.5%。それ以上の分には2%の手数料がかかることになっている(他のエージェントも似たようなもの)。つまり、もし、物件が40万ドルで売れたとしたら、$13500+$2000で$15500。これに12.5%の消費税、$1937.50が加算されて総額$17437.50となる。
 今回のエージェントの提案はこのコミッションを安くしましょうというものだ。確かに、これならこちらの手元に残る金額は同じ、売り手として文句をいう理由はない。しかし、こういうことは想定していなかったので、とりあえず隣人の老夫婦に相談した。
 「たぶん、大丈夫だと思うが、どちらにしても弁護士に見てもらうまで絶対にサインをするべきではない」。
 ということで、次は弁護士との面会である。
 写真は2週間ごとに発行される不動産情報誌に載った広告。

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Open Home

 家を売るときの宣伝方法のひとつにオープンホームというのがある。新聞や情報誌に日時を告知して、その時間にくれば誰でも家を見られますよ、というものだ。オープンホームの間は基本的にオーナーはいないし、アポイントも必要ないので家に興味がある人は気軽に見に行くことができる。
 で、本日は我が家のオープンホーム。部屋の中を掃除して、洗濯物を見えないところに隠し、耳障りにならない程度の音楽をかけて、フレグランス・キャンドルを灯す。あとは担当するエージェントと見学者を待つばかり。ところが、やってきたエージェントが、なんと、昨日インサイダーなオファーをかけてきた当人だった。「ハロー、相変わらずいい家だね!」。
 よりによって何故、彼が?他にもエージェントはいるんだし、常識的に考えて彼だけは外されるはず。だって、自分が買いたいと思っている物件を、真剣に他の人にセールスはできないでしょ?
 これは真意を聞かねばと思っていたのだが、悪びれもせずのんきに挨拶をする彼を見たら、あえて問いただす気持ちは霧散してしまった。これはこれで面白い。考えようによっては、この家を買いたいぐらいに気に入ってくれている彼こそ、我が家のセールスマンに相応しいともいえるではないか。
 さて、肝心のオープンホームの結果はというと、実は見学者は一人も来なかった。天候は小雨混じりの曇天。雲が低いためにレイクビューもなく、家を見てもらうには決して相応しい日とは思えなかったのでむしろ良かったのかもしれない。ところが、誰も来なかったのでは今日はもう何もないなと思っていた矢先、例のエージェントが帰り際に意味深な一言を放った。「この後、◯◯(仲間のエージェントの名前)が来るはずだから」。何しに・・・?。
 そう、誰も来なかったというのは大勘違い。ここにひとり、誰よりもじっくり見学していった人間がいたのである。

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最初のオファー

 家を売りに出して約10日。最初のオファーが来た。すでに5組のクライアントが見に来ていたので、そろそろかなと思っていたが、それが担当エージェントの一人からだったのにはちょっと驚いた。考えてみれば、彼らはマーケットに出た物件を最初に見るわけで、それも十分ありえることなのだが、他のクライアントが知らない売り手の情報を持っているので一種のインサイダー取引のようなものだ。実際、契約書と一緒に、転売目的ではありませんよ、という誓約書も作らなければいけないらしい。
 でも、結果的にそのオファーは断った。インサイダー云々はともかく、不動産情報誌にも載っていない段階で決めてしまう金額ではなかったからだ。下の写真はカウンターオファーのために契約書に書かれた金額を訂正するエージェント(オファーをしてきたエージェントとは別人)。

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超科学機械

 松浦晋也氏のエセ科学「水からの伝言」への注意を喚起するを読んでいて、これに行き当たった。

 オーラ測定器

 ドラえもんのポケットから出てきそうなアイテムだが、ちゃんと実在している。「水からの伝言」の著者、江本勝氏が経営する会社アイ・エイチ・エムが販売しているものだ。安価な方のセットで92万4千円。決して高くはない。なにしろオーラが見えるんだから。
 しかし、そもそもオーラとは如何なるものなのか。
 親切な同サイトのQ&Aの中でしっかりと説明されている。

 「オーラは現代技術では測ることができないより微弱な電磁波の一種です」。

 塞がらない口を直すにはこれかな。
水の惑星—地球と水の精霊たちへの讃歌

House for sale

あっという間に不動産屋のサインが立った。そして、ぞろぞろとやってきた黒服の人たち。彼らが担当エージェントたちである。大手の不動産屋がひしめく中で唯一のローカル企業。普通は一物件ごとに担当エージェントが決まっているものだが、彼らは全員ですべての物件を扱うやり方を採用している。そのためすべての物件内容を全員で共有する必要があるのだ。この方法がベターなのかどうかわからないが、少なくとも不動産屋の「顔」はよく見える。それはともかく、家を見るなり日本語で「スゴイ!」を連発するのはやめてほしい。「いい家だ」ぐらいのつもりらしいが、普通の住居を褒める台詞じゃあないと思うぞ。我が家のリスティングはこちら。

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エージェント決定

エージェントが決まった。5つの不動産屋の中で一番低い評価額、つまり最も現実的な価格を提示したところだ。本当はトップとボトムは無条件にカットするつもりだったのだが、いろいろ考えて結局、信頼できる友人のいるエージェントに落ち着いた。友達=良いエージェントとは限らないし、むしろ逆の場合も多いのかもしれないが、我々の場合はやはり「人」優先。それに駆け引きは面倒なので、最初から実売価格に近い金額を提示しておけば価格交渉も少なくてすむだろうという目算だ。幸い(かどうか分からないが)彼の会社でも直前になってもう少し売値を上げても良いだろうという判断になったらしく、当初の評価額よりも少し高めでマーケットに出すことになった。写真はペラ一枚の独占販売代行契約書。期間は3か月。
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